5月17日(土)に南アフリカ大使主催「アパルトヘイト撤廃20周年記念シンポジウム」が行われました。会場は南アフリカ大使公邸、参加者は100名ほどと規模は比較的小さなものでした。本シンポジウムは大きく分けて二部構成となっており、第一部ではアパルトヘイト時代に南アフリカや日本で反アパルトヘイト運動に関わった方々からのお話、第二部では「アパルトヘイト後の市民の関わり」というテーマで南アフリカの未来に向けた活動をする方々からのお話を聞くことができました。JVCからは南アフリカ事業担当者の渡辺が第二部のスピーカーとして登壇しました。
渡辺は、南アフリカでのJVCの活動の歴史について話した後、現在進行中のプロジェクトやそれに対する住民の反応について紹介しました。アパルトヘイトがまだ終結していなかった1992年、JVCは日本のNGOとして初めて現地での活動を開始しました。当初は女性の収入向上やスラム支援を活動の軸に置いていましたが、人々の生活が改善するにつれて地域の自立を促すための農村支援に着手していきました。しかし、南アフリカの人々と共に活動していく中で、JVCは新たな問題に直面します。それが、HIV/エイズであり、JVCの活動に携わっていた仲間の多くもこれによって命を落としました。こうした状況を受けて、JVCは2005年からHIV/エイズに関する活動を開始し、この活動は現在でも継続しています。このように、JVCの活動は変わりゆく南アフリカの社会状況に応じて柔軟に変化してきました。
活動紹介ではHIV/エイズの陽性者支援の一つの軸である家庭菜園作りが取り上げられ、スクリーンには荒れ果てた何もない土地が緑豊かな農作物で一杯の畑に変わった様子が映し出されました。 ある黒人女性は、"I became a human" こうして農作物を自分で育て、生活していくことで「初めて自分の足で立てたような気がする」と語ったそうです。それまでのアパルトヘイト時代から続く、辛く厳しい生活を自ら行動することで変革し、新たな人生を歩んでいこうとする人々の強さと努力に感動を覚えずにはいられませんでした。
今回の渡辺の話の中で最も印象的だったのは、今までJVCの活動に携わってきた人々の写真を1枚のスライドにまとめて紹介した部分です。渡辺は、「JVCの活動に協力してきてくれた人々がいたから今のJVCがある」と述べ、JVCは決して単独で存在してきたのではなく、様々な人の支援や協力があってこそ活動を続けてくることができたのだと説明しました。
国際協力においては、支援する側と支援される側という区別を乗り越えて双方が協働していくことが重要とされています。私はこの考え方を単に、「一方的な支援ではなく相互的な活動の積み重ねが被支援者の未来に繋がる」という意味で理解していました。しかし、渡辺の話からこのことは同時に「その地で活動するNGOや個人もまた支えられ学んでいく存在である」ということを意味しているのだと気付きました。NGOと現地の人々との連携、NGO同士の連携、NGOと日本の人々との連携...などあらゆるアクターの連携があってこそ、それぞれの活動が安定して継続され実を結んでいくのだと思いました。
その他登壇された方々の話はどれも興味深く内容も多岐に渡っていて、南アフリカの歴史と現状への理解を様々な方面から深めてくれるものでした。このような貴重な機会に参加できたことを大変嬉しく思うと共に、ここで得た情報やみなさんの経験・知識などを今後のインターン活動にも大いに役立てていきたいです。
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