\n"; ?> JVC - イベント報告 「イラクは今」  - 東京事務所スタッフ日記

イベント報告 「イラクは今」 

イラクチームボランティア 島本 恵里那
2014年10月 9日 更新

去る2014年9月8日、港区の天光院というお寺をお借りし、講演会「イラクは今」を、アーユス仏教国際協力ネットワークとの共催で開催しました。スピーカーとして、JVCの協力団体であるイラク現地NGO「インサーン・救援と開発のためのイラク人協会」代表のアリー・ジャバリさんをお招きし、イラクの現状について語っていただきました。あいにくのお天気ではありましたが、たくさんの方に参加していただきました。

アリー・ジャバリさんアリー・ジャバリさん

まず第一部では、「インサーン」が活動拠点としているキルクーク県の現状を中心に、アリーさんがプレゼンテーションを行いました。イラクやキルクーク県についてあまり知識のない人にもわかりやすく、その背景から最新のISISによる状況まで丁寧な解説がありました。

キルクーク県は、もともとイラク国内の中でも群を抜いて多様な民族構成を持ち、またイラク戦争後の混乱の中で民族間の緊張が高まっていた地域であったそうです。アリーさんたちはこれまでも、このような難しい地域で民族融和の活動を続けてきたそうで、その 苦労を垣間見たような気がしました。

さらに、今回のISISの侵攻に伴い、自分のふるさとが戦闘地域になってしまった人々や、迫害を受けた人々が国内避難民となり、キルクークにも避難してきているそうです。避難してくる国内避難民の数は増え続けているにも拘わらず、支援は不足しているそうで、放映された現地の動画からも現地の混乱が伝わってきました。そんな中、アリーさんたちは少しでもこの状況を変えようと奮闘しており、その活動に関してもお話がありました。

アリーさんたちはキルクーク市長に働き掛け、避難民のためのキャンプの設置を実現させたそうで、希望を感じる思いでした。このように支援を続ける人々を、日本にいる私たちも支えていかなくてはならないと、改めて実感しました。

続く第二部では、佐々木寛さん(新潟国際情報大学教授・日本平和学会会長・新潟平和研究センター代表)をコメンテーターとして迎え、アリーさんとのクロストークを行いました。佐々木さんは、平和学や国際政治学の立場からアリーさんたち「インサーン」のこれまでの活動に関してコメントをくださいました。

これまでアリーさんたちは、民族や宗派の異なる子どもたちの交流を出発点に、地域の人々の融和を目指す活動を行ってきました。佐々木さんは、「この活動は、世界全体の人々の対立にアプローチできる可能性がある」とコメントし、アリーさんたちの活動を非常に高く評価していらっしゃいました。

左から佐々木寛さん、アリー・ジャバリさん左から佐々木寛さん、アリー・ジャバリさん

このコメントを受け、アリーさんは、「厳しい状況ではあるが、今後も融和を目指して活動を行っていく」と答え、今後の構想についても語ってくださいました。アリーさんたちは、避難民の子どもたちと、元々の住民の子どもたちが集まり、遊んだり学んだりすることができる「平和の庭」(ピースヤード)の開設を目指しているそうです。この構想には、コメンテーターの佐々木さんをはじめ会場からも高く評価する声が上がりました。短期的な支援だけでなく、長期的な目線での支援も行っていくことが大切だというお二人のお話に、私も強く共感しました。

最後の質疑応答では、時間ぎりぎりまでたくさんの質問が寄せられ、皆様の関心の高さを実感しました。質問の回答の中で、アリーさんが活動を始めるきっかけに関してのお話があり、私も強い衝撃を受けました。乗合タクシーに乗っていた時、検問所で車がいきなり止められ、同乗者が無理やり車から降ろされて信仰していた宗派を理由にその場で殺害されたという経験をなさったそうです。このエピソードで、イラクの痛ましい現状を痛感すると同時に、イラクに一刻も早く平和が訪れてほしいと強く思いました。

国内避難民の増加、ISISの動き、民族や宗派の多様性、石油問題など、イラクの現状の困難さを改めて実感することになった今回の講演会。しかしその中で、混乱の先を見据えて活動している人々がいることに、どこか希望を感じることができた場でもありました。JVCは今後も、イラクの人々の融和を目指し、活動を続けていきます。私も、ボランティアの一人として活動を支えていきたいと思っています。皆様のご支援ご協力の、どうぞよろしくお願い申し上げます。

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